増田 健一 |
当会発足から学術担当として微力ながらお手伝いさせていただいておりましたが、このたび当会が研究会から学会に移行するにあたり、当会の会長に就任することになりましたので改めてご挨拶申し上げます。 小動物臨床の分野では、寄生虫性疾患やウィルス性疾患の予防が行き届くようになるとともに、これまで注目されていなかったアレルギーや免疫が関連した疾患を数多く目にするようになってまいりました。しかし、このような急増する疾患に対して、残念ながら我々は対抗策をほとんど持っていない状態でございます。そのため、これら疾患の病態、診断基準や検査値の読み方、さらには治療法についての情報を発信することは、この領域の研究分野にいる人間としては急務であると考えております。 |
ところが、我々の分野の研究者数は限られており、犬や猫のアレルギー学および免疫学の進展は遅いままでございます。このフラストレーションを解消するためには、ヒトやマウスで解明されている事を犬や猫のアレルギー・免疫疾患の診療に応用していくことが得策であろうと考えます。そのような理由から、当会は2007年に第1回目のシンポジウム開催に始まり、これまで動物病院の獣医師の先生方のアレルギー・免疫疾患の診療に必要と考えられる情報提供を目指してまいりました。そして今後も、このような情報発信を中心とした当会の役割をさらに充実、発展させるために、より多くのネットワーク、より多くの先生方のご協力が必要であると考えております。学会に移行することにより組織としての信頼性を高め、当会をアレルギー・免疫学の情報発信元として動物病院の先生方にさらに利用価値の高い組織にしてまいりたいと思います。 対象とする疾患が複雑であればあるほど、提供しなければならない情報が多ければ多いほど、これからの私どもの責任も重くなってくることを肌で感じております。会員の先生方のご協力なしでは到底、与えられた役割を全うすることはできないでしょう。今後ともご指導、ご鞭撻のほど何卒よろしくお願いいたします。
2010年8月4日 獣医アトピー・アレルギー・免疫学会 |