試験問題例

●筆記試験

【想定問題】

I型過敏症の症状発症にIgEが関与することを示したい。どのように証明すればよいだろうか。A4用紙1ページ程度(1000文字前後)で論述してください。

説明の途中では、集めた情報や自分の考えをできるだけ多く組み込んで、論理的に論述してください。論理的に論述する場合、コッホの三原則(病気の原因を考えられるものを見つける⇒その原因を何らかの方法で集める⇒集めた原因を健常個体に投与して、病気が再現できるかを観察する)を用いると簡単でしょう。

【回答例】

コッホの三原則を踏襲する形でIgEがアレルギー症状の発症に関係していることを犬で証明する。次の1~4の作業を行う。

  1. アレルギー症状と思われる症例を集め、その血液中のIgEを測定する。
    IgEの測定にはアレルゲン特異的IgE検査を用いるか、皮内反応を行っても良い。アレルゲン特異的IgE検査では検査センターによって陽性・陰性の基準が異なるため、どのような基準を用いているかを確認し、信頼できる検査センターを選択しておくと良い。皮内反応では論文に使用されているアレルゲン濃度を一般的に用いることで良いと考える。ただし、皮内反応では各症例において陽性反応を示す抗原濃度の適正化を行うことが困難であり、そのために偽陰性が出る可能性があるため、集めた症例群においてたとえIgE陽性率が低くてもそれを問題視する必要はない。
  2. IgEを何らかの方法で集めるか、あるいは、人工的にある程度の量を作成する。
    IgEを犬の血清から実験的に精製する。精製の方法についてはそのような作業を受託する会社に相談する。精製が難しいときには人工的に犬のIgEを合成するか、合成された犬IgEを購入する。
  3. 手に入れたIgEを実験犬に注射してみる。
    2で入手したIgEを実験犬に投与するが、大量に入手できた場合には静脈注射も可能である。しかし、1頭の犬に投与するほどの量を集めることが困難であるため、PKテストで代行しても良い。PKテストでは、健常犬の皮膚に精製したIgE溶液あるいは人工的に作製したIgE溶液を注射し、その部位にIgEが反応するアレルゲンを注射するか、抗IgE抗体を注射することでIgE-肥満細胞の脱顆粒を膨疹が形成されることで確認する

これらの作業によって、IgEがアレルギー症状発症に関係あるとして結論づけることができる。PKテストを用いる場合、皮膚の膨疹形成を確認するだけで良いが、症状とは異なるため、証明方法としては実際の症状発症を確認する場合と比較して劣ることになる。

(文字数841文字)

●面接試験

面接試験は、面接官の質問に対して学術知識を駆使して論理的に返答できるかどうかを審査します。質問を素早く理解し、返答のポイントを判断して、持っている知識を盛り込んで簡潔に返答してください。支離滅裂で冗長な返答は評価されませんのでご注意ください。面接試験は先生方が普段からお持ちのアレルギー・免疫の知識を問うものですので、特別な受験準備は必要ありません。
1人ずつの面接で正味30分ほどになりますが、質問がよくわからない場合は聞き直していただいて結構です。
また、外国人面接官の質問につきましては、必要な場合、学会長である増田先生が通訳を行いますが、可能な限り英語でご返答ください。

【質問例】

小動物の臨床現場で重要なアレルギーとは何を指しますか?

【解答例】

IgEによるⅠ型過敏症反応とリンパ球によるⅣ型過敏症反応を指します。Ⅰ型過敏症は環境アレルゲンと食物アレルゲンに対して起こりますが、Ⅳ型過敏症は食物アレルゲンに対して起こります。それぞれ独立した過敏症反応であり、同調して起こりません。

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